中学2年生の夏休みって、とにかくぜったい忙しい!
部活だって中心メンバーだし、塾に遊びにそして、自分のあれこれ、友だち関係、親やきょうだいのことで悩みや考えることもぐっと増えてきてるこの時に、どうして読書感想文?!と思ってしまいますよね・・・。
でも、忙しいうえに悩みもいっぱいの中学2年生だからこそ、心から染み入る読書体験ができるチャンスでもあると思っています。
ひとりで考えることが多くなったということは、血肉の通った言葉がみなさんの中で出番を待って、うずうずしているサインかもしれません。
今回は、忙しい時間でも読むのに負担にならない本だけど、しっかり自分のテーマについて考えることのできる3冊を紹介しようと思います。
よかったら、参考にしてみてくださいね。
中学2年生の読書感想文にオススメ本1 死を考えることを通じて、大切に人生を生きることを知る
青空のむこう 作:アレックス・シアラー 翻訳:金原瑞人
「青空のむこう」簡単なあらすじ
クラスの人気者ハリーは、ある日、自転車事故で命を落としてしまいます。
死後の世界の「現在地」から「彼方の青い世界」に旅立たなければならないのに、彼にはやり残したことがありました。
事故の前にケンカをしてしまった姉のエギーとの仲直りです。
家族や友だちにどうしても会いたいハリーは、死後の世界で知り合いになったアーサーと一緒に「生者の国」に向かいます。
戻ってきた現世は、自分がいなくても普通にみんなが過ごしていて、死者はみんなには見えない存在で、風も感じることができず、物を動かすのも一苦労。
ハリーは自分の思いを伝えることができ、「彼方の青い世界」に旅立つことができるのでしょうか?
生きることの深淵さが珠玉の言葉で紡がれた、何度でも読みたくなる名作です。
ここをテーマに考えてみよう!
自分が死ぬって、そして、大切な人を失うって、いったいどういうことなのか?
一度は考えてしまうテーマだと思います。
怖い?
それとも難しい?
やっぱり避けたくなる問題でもありますが、主人公ハリーの面白おかしい語りが、その壁を見事に破ってくれちゃいます。
すいすい読めるのに、気がつけば、死ぬこと、生きること、自分とまわりの人たちとの関係、人生を生きるとはどういうことなのか、ということを自然に考えている自分がいるはず。
そして、自分の人生と同じく、大切な人たちの人生もとっても大切なんだという実感が、じんわりと体中に広がってくることでしょう。
明日からの世界の見え方がぐんと変わる、その驚きがまさにテーマなのだと思います。
中学2年生の読書感想文にオススメ本2 きれい事は一切なし。人生の現実を見すえた言葉に気持ちが奮い立ちます。
この世でいちばん大事な「カネ」の話 作:西原理恵子
「この世でいちばん大事な「カネ」の話」簡単なあらすじ
マンガ家の西原理恵子さんが、お金に翻弄され続けた自分の半生を語った自伝エッセイです。
そこには一切の逃げはなく、人生で「いちばん大事なカネ」について突きつめた強い言葉が、痛いくらいに刺さってきます。
お金のないことがアル中やギャンブル依存やケンカの絶えない家庭を作り、そこで育った子どもも親と同じ道を歩んでしまうという負のループ。
このループから抜け出そうと西原さんは、高知から上京し美術大学に入ります。
しかし、そこでも負けている自分を発見するのです。
そうなった時、あきらめてしまうのか?
それとも精いっぱい自分のフィールドで戦うのか?
戦うことを選んだ西原さん。その努力の原動力は「カネ」だったのです。
掛け値なしに生きることの真実を学べる、自分らしく生き抜くためのバイブルです。
ここをテーマに考えてみよう
西原理恵子さんという、自分の生まれた境遇に負けずに、ただただ頑張り、自分の生きる場所を開拓した一人の女性の実話です。
そこには現実の重みがありながら、教訓というコーティングなしに赤裸々に、これから一人で人生を切り拓いていく若い世代に、体験として語ってくれているんですよね。
だから読めるし「大変でしたね」では決して終わらない読後感が待っています。
生まれた境遇、学校、スタイル、現実の人生は、限界を感じることの連続です。
でも、そんな時、何を目的に、何を自分の力に変えて、幸せに至る道を作って歩んでいくのか、考えずにはいられません。
今の等身大の自分の言葉が、ふつふつと沸き出てくることと思います。
中学2年生の読書感想文にオススメ本3 身につまされる人間の本質。だから人間、されど人間?
鼻 作:芥川龍之介
「鼻」簡単なあらすじ
池の尾(現在の京都府宇治市池尾)というところに、禅智内供(ぜんちないぐ)という僧がいました。
高い地位にあり弟子もいて何の不足もないようでいて、ひとつ彼には人に言えないコンプレックスがありました。
鼻が、あごの下まで届くほど大きかったのです。
人々に陰で笑われ、からかわれることで、禅智内供の自尊心はボロボロに傷つけられていましたが、鼻を気にしていることがバレることを恐れ、気にしないふりをしていました。
そんなある日のこと、弟子が京の都からすばらしい情報を仕入れてきます。
それは、この長い鼻を短くする方法でした。
弟子に手伝わせて医者が教えた方法を試してみたところ、なんと、あんなに悩んでいた鼻が、ふつうのサイズになったのです。
もう、ほかの人から笑われることもない、と安心する内供でしたが、おかしなことが起こります。
鼻が短くなったことで、もっと笑われるようになってしまったのです・・・。
ここをテーマに考えてみよう!
不幸だった人が幸福になったとき、ねたんでしまう。
コンプレックスがあるけど、そうだとわかられたくなくて平気なふりをする。
できたら直視したくないこんな感情を、澄み切った結晶のような美しさと硬度のある日本語で紡いだ、芥川龍之介の有名すぎる短編です。
すぐ読めるボリュームなので、まずは、物語の世界を堪能してみましょう。
そして、自分のなかにも、不幸な人を見てこっそりほっとする気持ち、幸せな人に感じる嫉妬、自尊心とそれを隠したい気持ち、あるってことを突き付けられます。
いやーな気持ちになったりするかもしれません。
でも、それって、人間だれしも持っている偽らざる本質だと思うんです。
このしんどくなる複雑さも、自己嫌悪に陥って苦しくなるのも、全部ひっくるめてわたしたち人間なんですよね。
生きていくことに迷った時、良し悪しじゃなく人間ってこうだよね、というあなたなりの見方を、ぜひ読書感想文として、未来の大人になった自分のためにも残してあげてくれたらと思います。
中学2年生の読書感想文、負担なく読める!でも深い!オススメ3冊のまとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
中学2年生は、毎日が特急列車のスピードで立ち止まりたくても立ち止まれない、そんな感じなんだと思ったりもします。
大変な日々の中で、宿題ではあるけれど、夏休みの読書感想文が少しでも考えたいこと、悩んでいたりすることのヒントになってくれたら、とってもうれしく思います。
応援していますね。